世界的な人口爆発により現在76億人の地球の人口は、2050年には約100億人を超えるとも言われ、それに伴い、慢性的な食糧不足により飢餓に苦しむ人々も増加することが予想されています。
食糧問題の原因の一つが、気候変動による世界的な食糧生産環境の激変化です。日本では比較的影響を感じにくくはありますが、それでも年々極端な気象現象が起きやすくなることで、食糧の供給・アクセスいずれにも深刻な影響を与え、新鮮な食糧を安定的に手に入れることが困難な地域も世界的に多く存在します。
一方、その気候変動の主因である温室効果ガスの排出という観点では、農業及び関連する土地利用(主に森林減少)は世界全体の排出量の約25%を占めています。まさに食糧生産を拡大させるほど気候変動を加速化させる悪循環であり、持続可能とは言えない実態があります。
人類にとって最も根本的な課題となる食糧問題と、その背景にある気候変動問題を一体的に解決するアプローチとして、また未来の社会システムであるUtility3.0を構成する主要コンポーネントとして、私たちは持続可能な農業の実現を目指しています。
新鮮な野菜が手に入る日常を、世界の当たり前にしたい。
世界の食糧問題や日本の農業を巡る課題に対する強い思いから、2014年に創業した会社です。小規模でも採算がとれる分散型の次世代植物工場であるPUTFARMという技術を核に、持続可能な 「環境にやさしい農業」「人にやさしい農業」の実現を目指しています。
まだ、アーリーステージのベンチャーではありますが、技術とノウハウは世界で通用するレベルだと自負しています。
実は伊藤さんの方から突然ご連絡を頂いたんです(笑)。弊社を取り上げてくださった、『農業崩壊 誰が日本の食を救うのか』(日経BP社)を読んで関心を持ってくれたというメールを頂き、次世代植物工場のランニングコストの3割近くがエネルギー利用に関わることからその課題解決に何等か貢献できないかという真摯なお申し出に、ぜひお会いしたいと思いました。
ただ、実は初回の打ち合わせのときに僕自身はインフルエンザにり患してしまいまして(笑)COOの藤田だけがお目にかかったんですが、最初から意気投合したと報告を受けました。
ご縁がある時にはあるものなんだと思います。
最初は外部からアドバイザー的に、経営戦略の立案などをサポートしてもらっていました。
ただ、我々のようなベンチャー企業には、外部からサポートしてもらうだけでなく、内部に入り込んで、一体となって戦ってくれる戦力が必要です。わが社の経営に参画してほしいというお話をして、伊藤さんにはCSOに就任してもらい、竹内さんにはアドバイザーになってもらいました。ハンズオンという形で経営に深く入り込んで支援しますよ、というスタイルのベンチャーキャピタルさんなども多いと思うのですが、究極のハンズオン、むしろ、一体型の究極の支援だと思っています。
我々の技術は小規模でも採算がとれること、多様な品種の栽培が可能であること、採れる野菜は完全無農薬で新鮮かつ美味しいといった強みを持ちます。例えば郊外型のスーパーマーケットの空きスペースに、植物工場スペースを作って販売する「店産店消」といったモデルの展開に取り組んでいたり、インフラ企業が保有しておられる未利用スペースの活用、加えて海外からの引き合いも多くいただいています。
こうした諸々のプロジェクトをご一緒していますが、再エネの電気と組み合わせた植物工場事業などにも広げていく予定です。
社会の方向性に対する確かな目と、事業戦略立案の実践能力、そして、幅広いネットワークでしょうか。
実はこれまで、わが国では数度の植物工場ブームがありました。しかし、収益性に課題があり、補助金利用が前提のようになっています。これまで数百件規模の事業参入と撤退がありました。僕自身、こうした経験で蓄積されたノウハウは活かしながら、ちゃんと市場で勝ち残れる、ビジネスとして自立できる技術の確立を目指してきました。東京大学やJAXAをはじめとする専門的知見や、農業のノウハウなどは蓄積してきましたが、それだけではカバーしきれないところもあるのだろうと思います。
頼もしい味方を得て、自分たちのビジョンも改めてクリアになったように思っています。
あとは実践あるのみ。プランツラボラトリーとU3innovationsの二人三脚で走り切りたいと思います。