Case Study 01

ブレイクスルー・リビング産業

ブレイクスルー・リビング産業 〜暮らしの限界を突破する〜

自律分散型インフラ技術により、人口集積を前提としたこれまでの社会インフラの限界と制約から解放し、自由で多様、持続可能な生活を実現していく新産業です。

取り組む社会課題

これまでの社会インフラは、発電所や浄水場が典型ですが、大規模化によって効率化してきました。送電線や水道管により全国を繋いだインフラネットワークを構築することで、低廉かつ安定的なエネルギーや水の供給が実現しました。人口増加と経済成長が続く右肩上がりの社会を、こうした社会基盤が支えてきたのです。

しかし、その社会インフラに転換点が来ています。人口減少が始まった社会ではもはや、大規模な社会インフラを維持する投資は続けられず、結果としてこれまでの生活を維持することが難しくなっています。

例えば、全国の水道事業体の半数以上は構造的な赤字に陥っていると言われ、水道管の老朽化による漏水・破裂事故などは増加の一途をたどっています。また、過去25年間でガソリンスタンド店舗数は半数以下にまで減少、生活において車が必須な地方社会においては、まさにライフラインそのものが断たれてしまう例も出始めています。このように、人口減少が加速化する地方社会においてはインフラの持続可能性が脅かされ、そこに住む方たちが今の生活を諦めざるを得ない未来が迫ってきているのです。

Utility3.0を構成する新産業 「ブレイクスルー・リビング産業」

Utility3.0における解決の方向性は、社会インフラの自律分散化です。
人口集積を前提としたこれまでの社会インフラの維持が難しいのであれば、部分的にでも、人口集積を前提としない自律分散型テクノロジーに置き換えようという考えです。例えば、エネルギーは、太陽光発電と蓄電池という分散型エネルギー資源を組み合わせることで、送電線に繋がずとも昼も夜も電気を使うことができる(オフグリッド)環境の実現が既に可能です。

この自律分散型インフラが実現されると、従来型の社会インフラによる制約が解消され、全く新しいライフスタイルが生まれることも期待されます。もっと快適にアウトドアレジャーを楽しむことができ、絶景が臨める山の上や断崖に面した孤島に住むこともできる。インフラごと住まいを持ち運び、移動しながら暮らすこともできる。さらには砂漠でも、海上でも、宇宙でも生活できるようになる。いかなる場所でも、人が自由に、自らの多様な価値を表現した暮らしが可能になるのです。私たちは、こうして可能になった新しいライフスタイルを包含した一大産業「ブレイクスルー・リビング産業」の創出を目指しています。

ブレイクスルー・リビング産業

新産業を創出するコア事業 「オフグリッド・ユーティリティ」

この新産業の創出に向けて、現在はコア事業となる「オフグリッド・ユーティリティ」の立ち上げに挑戦しています。この事業では、分散型エネルギー資源の他、オンサイトで排水を浄化し、循環利用が可能な小型浄水器、廃棄物をその場で資源化する小型プラントなど、これまでのインフラに比べて圧倒的にコンパクトな自律分散型テクノロジーを集め、最適な運用が可能なパッケージにして、さまざまな環境・用途に提供することを目指しています。

既に山梨県北杜市の八ヶ岳山麓に、実証施設「オフグリッド・リビングラボ八ヶ岳」を開所、実際に生活して課題の洗い出しを行っています。今後は実証実験の結果をもとに、グランピングなどのレジャー市場、多拠点生活やセカンドハウス(別荘)を想定した住宅市場などに段階的に参入、将来的には、地方の社会インフラをリプレイスすることを目指します。

オフグリッド・ユーティリティ