正式名称は「VPP事業者連絡会議」ですが、みゃーく(宮古)で会議だよー、と言われた方が一部の方にはピンとくるし、惹きつけられますね。
毎年冬の時期に行われ、私もこの3,4年ほど参加させていただいています。当初は小さな会議体でしたが、年々参加者が増え続け、今年はなんと196人。東京から1000㌔、沖縄本島からも200㌔離れた宮古島に、全国から、しかも日本の再生可能エネルギーに第一線で取り組む方たちを約200人も集めるのですから、すごい会議です。
宮古島は独特の文化を持つ場所で、言葉も個性的。
猫は「まゆ」
ありがとうは「たんでぃがぁーたんでぃ」
お腹いっぱいは「ばたんちどぅ」
と言われても、何が何だか(笑)。
お酒の場では、「オトーリ」という風習が今でもあります。その場で「親」を決め、親がコップに継いだお酒を順番に飲み干していくというもので、ゲーム性は特にないのですが、参加者の結束はなぜか強まります。
言葉も文化も独特で、異国を訪れるようなワクワク感と懐かしい故郷に帰ってきたかのような気持ちの両方を味わうことができるのが、宮古島かもしれません。
この会議の主催者である、株式会社ネクステムズの比嘉社長には、以前この創業者ブログの【談論風発】にも登場いただきましたし、日本での再生可能エネルギーの普及拡大に関心をお持ちの方であれば、宮古島VPP実証事業のことは耳にされたことはあろうかと思います。
この事業がこれほどに関心を集めるのは、離島でのVPP実証事業という先進性や行政(宮古島市)と事業者、住民の連携のユニークさといったことだけでなく、徹底して現場に密着して事業を進めているため課題が具体的で学びが多いことにあるのだろうと思います。
エネルギーは現場が大事というのは私の信条でもありましたが、それにしても「事件は現場で起きている」ものですね。今回伺った話で印象的だったのは、エコキュートの通信アダプタの中に蟻が入り込んで巣を作り、設備トラブルにつながったと思われる事例が発生したとのこと。メーカー側も初めての経験で、何が蟻を引き寄せたのかはいまだ解明できておらず、1ミリ程度の隙間をテープ等でふさぐことを検討中だそうです。こうしたことも経験してみないとわからないものです。
現場を大事にする、地域に貢献するという姿勢は、いま日本の再生可能エネルギーを発展させるうえで最も重要な事ではないかと思っています。
U3イノベーションズでは、2030年に向けた太陽光発電産業のビジョンを描くために、昨年約10か月かけて様々なステークホルダーにヒアリングを行い、日本の太陽光発電の現状と課題を洗い出しました。その中で、FIT後に急増した太陽光発電事業(野立て太陽光)が思った以上に地域の中で「迷惑施設」と捉えられる向きが強まっていることを実感しました。
それも当然と言えば当然です。
急増した野立て太陽光の中の一部とはいえ相当数が、地域とのコミュニケーションも全くなく、時には森を切り拓いて設置され、台風や豪雨の際にはかえって地域に迷惑をかけてしまうような施工も散見されました。
多くの太陽光発電事業者の方は、「地球環境対策」を大義として太陽光発電に取り組まれたのだと思います。ただ、それは温暖化対策という点から見た大義に過ぎません。その技術の持つメリットを過信してしまったという点で、原子力関係者の方と再生可能エネルギー関係者の方にある種「同じ匂い」を感じることがしばしばあります。どちらも「社会・地域にいかに貢献するか。価値を感じてもらうか」を見直さなければならないと思っています。
こうした中で、再生可能エネルギーの導入を理念として謳うのではなく、地元の方たちにとってメリットのあるスキームにするために、地域の生活パターンなども熟知した株式会社ネクステムズの皆さんが一つ一つ課題を解決している宮古島の実証事業は、一つの理想形だと思っています。
コスト低減、供給安定性の確保、同時同量へのチャレンジなど課題はまだまだたくさんありますが、宮古島で蓄積した経験・知見によって、日本の再生可能エネルギー導入が新しいステージに昇ることができるのではないかと期待していますし、そのためにU3イノベーションズとしての何らかの貢献をしたいと思っています。
最後になりましたが、ネクステムズの皆さんが「令和元年度新エネ大賞」において、「経済産業大臣賞」を受賞されました!「え?まだもらってなかったの?」というのが正直な感想ですが(笑)、本当におめでとうございます!
もう一つ最後に。宮古島市が立ち上げたクラウドファンディングをご紹介します。オーバーツーリズムなど宮古島の抱える課題はさまざま。宮古島にご縁とご関心のある方に・・。