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予想ではなく、道を創ろう。

関東地方の大晦日はとても暖かで、穏やかな年末という雰囲気を味わうことができました。原稿書きの仕事が溜まっていて、私の仕事机の上は年末年始とは全く無関係のままですが、年が改まったのを機に、昨年の振り返りと本年の抱負などをつづってみたいと思います。

2018年10月1日にU3イノベーションズを創業した当初の思いは、「創業の思い」につづった通り「2050年の日本に、いい未来を遺したい。」ということでした。少なくとも、2050年の日本が、エネルギー問題で困ることのないようにしたい。それが我々の創業の思いです。

そう思うに至った背景には、エネルギー産業において、大きな構造変化が起きていたことがあります。皆さんも感じておられる通り、これまでのように、一部の大企業が産業を牽引する時代が終焉を迎えつつあるということです。今後は、多種多様なプレーヤーが登場し、脱炭素化やデジタル化に対応した新たな産業になると期待されています。垂直統合型の高度に統合された社会システムから、コンテンツ、サービスプロバイダー、プラットフォームといったレイヤーに分化し、それぞれが進化していくと考えています。

このような構造変化を予測し、期待する方はたくさんいます。私たちが著書の中で描いた「Utility3.0」の世界観に共鳴してくださる方も増えました。しかし残念ながら、それだけではUtility3.0の世界は実現しません。この世界観に関心を持ってくださる方を巻き込み、チアアップし続け、そこに至るまでの道のりに転がる古い規制や業界の慣習、業界が異なることで生じるコミュニケーション・ギャップといったさまざまな石を丁寧に取り除くことで、道を作らねばなりません。道は自然にできるわけではないのです。

もちろん、具体的な動きも出てきています。ベンチャー企業に対する期待も高まり、以前と比べれば資金調達がしやすくなったことは他の産業と同様ですし、大手エネルギー企業とベンチャー企業の提携や、大手エネルギー企業によるCVC創設も続いています。

ただ、そもそもエネルギー産業は「規模の経済」が支配する産業でもあり、また、一つのミスもエラーもないということが求められがちなので、ベンチャーの方が活躍しづらい産業だと言えるでしょう。わが国におけるエネルギーベンチャーの層は薄く、IPOは相変わらず少ないままです。

この状況を変え、Utility3.0の世界に必要とされる、多種多様なプレーヤーの協創による分散型・融合型産業モデルを作るために、私たちが取り組もうとしている事業は、下記の6つです。

 ①エネルギーインフラの再構築

人口減少・過疎化や脱炭素化により、維持が難しくなる石油系のエネルギーインフラを持続的なビジネスモデルへ転換する地域モデルの創出

②産業横断のインフラ創生

モビリティあるいは農業など他産業との融合、他の社会インフラとの融合による維持コスト低減、社会インフラのファイナンス問題の解消

③再エネ電源のエコシステム確立

FIT制度など補助制度に依存せず、自律的・自立的に顧客価値の創出や持続的なコスト削減を実現する再エネ産業の創出

④分散エネルギーの資源化

蓄電池やエコキュート、電気自動車などの分散型エネルギーのコネクト化/IoTによる資源化

⑤エネルギーマネジメント2.0

RE100などSDGsへの対応を進める企業や自治体との協働を通じた持続的・包括的な環境・エネルギーマネジメントの具体化

⑥電力利用のUX向上

給電・充電といったエネルギー利用の制約を解き放つ新しい技術の導入、人間拡張への備え

創業からのこの1年強では特に、③再エネ電源のエコシステム確立、②産業横断のインフラ創生、④分散エネルギーの資源化に取り組み、それぞれの分野でパワフルなパートナーと出会うことができました。想像していた以上に、出会いに恵まれてスタートダッシュをすることができたことに感謝し、パートナーの皆さんの成長をご支援することで私たちも成長していきたいと思っています。

今年の前半はこの3本柱をしっかりと仕上げることに加えて、種まき中であった残りの3つの柱を太くしていくことが目標です。

繰り返しになりますが、ビジョンを描いたり、将来予測をするということは、多くの方がされます。特に将来予測は山のようにあります。

例えば再生可能エネルギーのコストは、「他国でのコスト低減スピードから見て、〇年後にはこれだけ安くなるはず」と予測する。そしてこれまで他国のように下がらなかった理由は「抵抗勢力があったから」、「政策の失敗」と「誰かのせい」で済ませてしまう。

将来予測は政策決定の指針にもなりますので、こうした議論が無駄だという訳では決してありません。ただ、そういう予測はあくまで予測でしかありません。その予測が外れても、誰も責任を取ってはくれません。

将来予測をしてそれで終わりではなく、自分でその道を創りたい。

これが私たちの今の率直な思いです。

コストは下がるのではなく、下げるのです。サプライチェーン全体をつぶさに見て、コストを下げられるポテンシャルを徹底的に洗い出す。コスト競争力のあるサプライヤーと組むための戦略を巡らす。提供できる付加価値を見つけ、それを顕在化させる手段を徹底的に考える。こうした地道な一つ一つが、Utility3.0で活躍するプレイヤーを創り出すための一歩であり、Utility3.0の世界を創ることだと思っています。

環境・エネルギー政策を論じるばかりであった私に、こうした具体的な活動の場を与えてくれたU3イノベーションズに感謝しながら、このブログを読んでくださる皆さんと、Utility3.0の世界を創っていきたいと思います。

本年も、どうぞよろしくお願い致します。

2020年1月1日

U3イノベーションズ 伊藤剛 竹内純子