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「環境スタートアップ大賞」に参加して

ご報告を書くのが遅くなってしまいましたが、3月17日、虎ノ門のCIC Tokyo[1]で開催された「環境スタートアップ大賞」の表彰式と、同時に行われたピッチ・展示イベント「Green Startup Pitch and Conference」に参加してきました。

環境省が2020年度に初めて創設した「環境スタートアップ大賞」は、ステージを問わず広く将来有望だと思われる環境系スタートアップ企業を表彰するというもので、イノベーションハブとしてベンチャー企業の支援に取り組むCICがその運営を受託されたものです。CICにお声がけを頂き、U3innovationsの環境系スタートアップとのネットワークを活かす機会でもあると考え、構想段階から議論に参加させていただいてきました。

この大賞創設が発表されたのが昨年11月16日で、応募締め切りが12月28日とかなり慌ただしいスケジュールであったことに加えて、賞金等の実益ではなく表彰に重きを置いた制度であったので、どれだけ応募を頂けるかと心配していたのですが、ふたを開けてみれば、81社のスタートアップの皆さんから応募を頂きました!応募してくださった方、本当にありがとうございます。また「今年は見送るけれど来年必ず」と仰ってくださった方には、来年お目にかかるのを楽しみにしています!

選定委員の皆様による厳正な審査の結果、下記の皆様が受賞されました。

環境大臣賞:株式会社ピリカ

事業構想賞:WOTA株式会社

ファイナリスト:ウミトロン 株式会社、株式会社ポーラスター・スペース、株式会社グリラス、株式会社エネファント

本当におめでとうございます!
Green Startup Pitchでは、今回の大賞の分析や、環境・エネルギー分野のスタートアップの課題について講演する機会を頂戴しましたので、その内容についてお伝えしたいと思います。

今回ご応募くださった環境・エネルギー分野のスタートアップの皆さんの特色として感じたのは、「社会課題解決に対する強烈な意欲が出発点」になっているケースがほとんどだということです。最近は分野を問わず、社会課題解決型の起業が増えていることは皆さんご認識かと思いますが、特にこの環境・エネルギー分野においてはその傾向が顕著であると感じました。

また、今回の大賞がステージを問わず応募を募ったこともあるのだろうと思いますが、取り組みのレベルが多様であることも感じました。テクノロジーのinvention(発明)だけでなく、コスト低減や利便性向上等によるビジネスモデルのinnovationや既存技術のimprovementに丁寧に取り組み、社会実装に落とし込む取り組みが多くありました。大企業があまり得意ではない、消費者の細かなニーズ分析や社会課題として資本市場から取り残されている課題が多い環境・エネルギー分野においては特に、スタートアップの意義が高まっているのだろうと思います。

もう一つの特徴が、チームのバックグラウンドの多様性です。環境・エネルギー分野での課題意識は、生活に密着している分、多様なメンバーで共有しやすいのかもしれません。当日は150名を超える来場者に加え、400名を超える方がオンラインで視聴されたと伺っていますが、性別、年代、国籍も多様なメンバーがおそろいのTシャツを着て参加してこられたスタートアップもおられました。CICという会場の雰囲気とも相まって、その場にいるだけで気分が高揚するのを感じました。

ただ共通する課題が、マネタイズ、スケールアップに向けた苦闘です。ビジネスモデルを構築しマネタイズできなければ、結局その取り組みはサステナブルではなくなってしまいます。選考の過程でも、マネタイズへの道筋を具体的に描けているかどうかは大きなポイントでした。社会課題解決の価値を社会に可視化した上で提供し、マネタイズの仕組みにいかに早く目途をつけるかは、スタートアップの成否を分ける分岐点であることは言うまでもありません。

とはいえ、社会の価値観も変わります。特にここ1,2年は急速な変化が起きていると感じています。

実は今回の審査委員長を務めてくださった奥田浩美さんと当日しみじみと、

「株式会社ピリカさんが環境スタートアップ大賞を受賞する世の中になったんですね」

というお話をしました。何年も前から、株式会社ピリカさんには注目していたのですが、それでもどこかで「企業活動として評価を得るのは難しいのではないか」と思ってもいました(ピリカの小嶌さん、ごめんなさい!)。そのピリカさんが、表彰式の2日前の3月15日には第三者割当増資による約1億円の資金調達成功も公表され、着実に社会からの評価を得ておられることを目の当たりにし、やり続ければ社会の価値観も変わるし、価値観を変えていくのも私たちの仕事だと改めて実感した次第です。

最後に、最も強くお伝えしたいのが、環境・エネルギー分野のスタートアップの皆さんの“掛け算の可能性“です。例えばいま私たちU3innovationsが関心を持っている、自立分散型社会の構築には、一部のインフラだけ自立分散型にするだけでは足りません。コミュニティの中で自立分散型経済の意義を共有し、そのビジョンに向けてあらゆる仕組み・インフラの転換を図っていかねばなりません。この場に集まった環境・エネルギー分野のスタートアップの皆さんのコラボレーションがあれば、社会のあり方の転換と言う壮大な課題にも解決の糸口があると感じました。

そのためにも、環境スタートアップのコミュニティ化が必要です。

今回事務局を務めてくださったCICは、快適で先進的なオフィスソリューションを提供するだけでなく、コミュニティを創出しそれを維持・拡大し続けることで、イノベーションハブとしての機能を果たそうとされています。私たちU3innovationsは引き続きCICとコラボレーションさせていただく予定です(詳細は後日また!)。

この環境スタートアップ大賞は来年度以降も継続すると、小泉進次郎環境大臣も仰ってくださいました。こうした機会をきっかけに、関連するスタートアップの皆さんを含む産官学の連携がより活性化することを期待していますし、私たちもその仕掛人になっていきたいと思っています。


[1] ケンブリッジ・イノベーション・センターの略。スタートアップの動向に関心のある方なら皆さんご承知かと思いますが、イノベーションのためのエコシステム創出を目的に、2020年にオープンしたイノベーションハブです。