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「この2つが実現すれば、エネルギーの大転換が実現する」

7月25日、ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社とCATLの業務提携に関する記者発表会が行われました。

FIT導入前から地道に再エネ事業に取り組み、太陽電池モジュールやパワーコンディショナー、架台など太陽光発電事業のバリューチェーンすべてにおいて技術力とコスト競争力を磨いてきたネクストエナジー・アンド・リソース株式会社(以下、ネクストさん)と、バッテリー製造において世界最大の売り上げを誇る中国の蓄電池メーカーCATLさんの協業は大きな注目を集め、記者発表会にもその後のセミナーにも多くの方が駆けつけてくださいました。

この記者発表会とセミナーの開催に関わらせていただいた私たちU3イノベーションズにとっても、感無量の一日となりました。

これまで太陽光発電・風力発電といった「分散型電源」の普及が十分進まなかったのは、大きく言って2つの課題があったからだと考えられます。一つはコストが高かったこと。もう一つは発電量が太陽任せ、風任せになってしまうという変動性です。

前者のコストについては、指数関数的に下落してきたことは皆さんもご存知の通りです(図1参照)。残念ながら日本の太陽光・風力発電は国際的にみて今でも非常にコスト高です。もちろん砂漠地帯の太陽光発電や、偏西風や遠浅の海という条件を持つ地域の風力発電と全く同じコストになるということは無理ですが、それでも、日本の再生可能エネルギーの価格はもっともっと下がると思っていますし、下がってもらわねば困ります。「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」で描いたUtility3.0の世界も、再エネのコスト低下を「前提」としています。


図1)米国における太陽光発電のコスト低下

しかしコストが安くなったとしても、変動性の問題は残ります。電気は一瞬一瞬の需要(必要とされる量)と全く同じ量の発電をしなければ周波数のバランスが崩れてしまうという特性があるので、気が向いたときに気が向いた量だけ発電し、「同時同量」のバランスをとることは火力発電に任せるというのでは、責任ある主力電源とはなりえません。 再エネの電気を広域利用できれば変動性の課題もクリアできますが、送電線の利用ルールの見直し(日本版コネクト&マネージ)で対応できる範囲はそれをやるべきものの、送電線を拡充することについては、今後の人口減少なども考慮して慎重に投資判断をしなければなりません。要は変動性の課題がネックだったわけです。

この課題をクリアする手段として期待されているのが、蓄電技術との組み合わせです。既存の揚水発電所の活用などはこれまでも進められてきましたが、これ以上の開発余地はなく、今後導入される蓄電技術はバッテリーということになるでしょう。しかし「バッテリーは高い」というのが常識でした。

ネクストさんはここに果敢に挑むこととしたわけです。

今回の記者発表の冒頭、ネクストの伊藤社長が口にされたのが「蓄電池のトータル導入コストが1/4になり、調整可能な電源のコストが2/3になれば、エネルギーの大転換が実現する」ということでした。確かに、経済合理的な再エネと蓄電池が供給されれば、エネルギー自給や災害対策、RE100など再エネ電源への需要など様々な社会問題の解決に貢献できます。

なぜバッテリーは高いのか。特に日本で流通するバッテリーは高いのか。コスト構造を見れば、流通コストや設置等の施工費など「モノの値段」以外にも大きな課題があることがわかってきました。これを解決するために、需要家との接点を持ち、かつ、再エネ・蓄電池等の設置やメンテナンス等の技術を持つ事業者がオーナーとなって、例えば工場や商業施設などの顧客の敷地や屋根に再エネ+蓄電池を設置して、それを「自社電源」としてうまく活用していくという「第三者所有モデル」を普及させる。そして、この第三者所有モデルによって再エネ+蓄電池の保有を拡大しようとする事業者に、太陽光発電と蓄電池をシステムとして提供しようというのが、今回の提携の主旨です。 ちょっと複雑な事業形態に思えるかもしれませんが、低コストかつ良いサービスを提供するためには、多様な事業者がそれぞれの強みを生かして役割分担することが必要です。今回の事業モデルはまさにそうした役割分担を明確にすることで、顧客に提供する価値を最大化することを目指したものだと言えるでしょう。

ネクストさんとは、U3イノベーションズ創業の前に出会い、この1年ほど非常に密に議論を重ねてきました。まだ出会ったばかりの頃に、「上げも下げもできない(*出力の上げ下げができない)のは、いくらkWhを作れても発電所とは言えない」と言った私に、「なるほど、そうだ!」と応えてくださったのがネクストの伊藤社長でした。太陽光発電の意義を信じてこれまでやってこられた方ですから、不愉快だと怒られても不思議はないところです。でも理屈や理論で太陽光を語ってきた方ではなく、事業として取り組んでこられた方だからこそ、「課題から逃げていては、普及は望めない」と捉えてくださったのだと思います。

太陽光発電を「発電所」にする。「責任ある電源」にする。

そのためにはどうするかを考え続けた結果として出てきた答えの一つが、CATLさんとの協業だったわけです。

今回のネクストさんとCATLさんとの協業は、日本の分散化を進める大きな一歩になると期待していますし、そのお手伝いをU3イノベーションズでもできればと思っています。

今回ネクストさんのプレス発表文の最後に「なお、当社はU3イノベーションズ合同会社と分散型エネルギーへの転換に関する事業創出に関して協業しており、分散エネルギー資源を活用した革新的な事業・商品開発を共同で行い、日本のエネルギー変革に取り組んでまいります。」と書いていただきました。ありがとうございます。

私たちもネクストさんに負けないよう、日本のエネルギー変革に取り組んでいきたいと思います。

パネルディスカッションに登壇していただいた方たち。左から 東京ガス株式会社デジタルイノベーション本部基盤技術部応用技術研究所藤峰所長 CATL チーフカスタマーオフィサー 譚様 ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社 伊藤敦社長
基調講演には東京大学大学院工学系研究科田中謙司准教授と東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長岡本浩様に登壇いただきました!

■ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社■

「自然エネルギーを普及させ、永続できる社会の構築に貢献する」という志を胸に、太陽電池モジュールをはじめとする関連部材の開発・販売から発電設備の建設・保守管理まで、太陽光発電をトータルにサポートする事業を展開。再生可能エネルギーの主力電源化を次期エネルギー産業の課題ととらえ、分散型エネルギー資源の高度利用の実現を目指しています。